大分建設新聞

四方山

茶道

2024年05月13日
 昔、大学の卒業を1年延ばして2年間だけ茶道を習ったことがあるのを「日日是好日」という映画を見て思い出した。映画を見てるうちに断片的に当時の記憶がよみがえる▼茶道は端的に言うとお茶をたてて客に提供する所作(これをお点前という)だがこれが実に奥が深い。客が気持ちよく過ごすことが主目的で、季節感を大事にする。まず玄関先の掃除、奇麗にするだけでは足りない、夏は打ち水を、秋は枯葉を散らすなど季節に応じた装いを凝らす。さらに掛軸を飾り、野草などの季節の花を飾り客を迎える準備が整う▼茶道具も冬は炉、夏は風炉で湯を沸かして、茶碗は冬は冷めにくい筒茶碗、夏は冷めやすい平茶碗を使うなど、もてなしの心にあふれている▼お点前は初心者から見ると実に複雑で最初はムリと思った(映画では体で覚えろと言っていた)が一つ一つの所作には理由があり、例えば半畳を3歩半で歩くのは和服であれば大股で歩けないので自然とそうなるとか、障子を開くときは左手で3分の2開いて残りを右手で開く。実際にやってみると納得すると思う最も開きやすい方法なのだ。また、よく知られているお茶碗を回して飲むのは、正面を避けて飲むためだなどすべての所作には理由があり極めて合理的に出来ている。だから上達者の所作は流れるようにスムーズで奇麗なものとなっている▼茶道のほかにも花道、香道、剣道、柔道などおよそ「道」がつくものは最初は型から憶えて、何度も練習を重ねていき型が身についたときにその「道」の本質が見えてくるような気がする。静寂の中で炭がカリンカリンと爆ぜる音を聞きながら、一分の無駄のない流れるようなきれいな所作でたてられたお茶を飲む▼久しぶりに日日是好日を味わいたいと思ったが正座ができない自分がいる。(筋)
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