霧のいろいろ
2024年02月26日
大分県を含む九州北部に春一番が吹いた翌20日、早朝から県内全域が濃い霧に包まれた。霧の原因は前日の雨で湿度が高くなり、夜間冷えこんだため。東九州道、大分道、日出BPなどの一部区間で速度規制が行われ、濃霧注意報は午後3時までに解除された。戸惑ったドライバーも多いだろう▼大分は山が多く変化に富んでおり、山間に小さな盆地が点在。放射冷却などにより、各地で朝霧が発生する。佐賀関では梅雨の時期から夏にかけて「海霧」が、日田では10月中旬から12月初旬に「底霧」が濃くなるそうだ。由布院では秋から冬にかけて、日中は晴れて暖かく、夜が冷え込んだ翌朝に「朝霧」が出るという▼季語でいえば霧は秋だが、季節に関係なく発生する。県内外の多くのドライバーの悩みの種になるのが、ご存じ別府の湯けむりならぬ「滑昇霧(かっしょうむ)」である。別府湾からの暖かく湿った空気が上昇し、冷却されて霧を生じるという▼国土交通省が2015年に調査した全国の「要因別高速道路通行止め時間」ワーストランキングによると、霧を要因とする通行止め時間で、大分道の湯布院IC―日出JCT、日出JCT―別府湾SA、別府湾SA―別府ICなど、別府湾周辺の大分道、宇佐別府道路、日出BPなどの12区間がランキングの1位を占めた(年間314時間)▼NEXCO西日本では濃霧対策として通行止めや速度規制をするほか、防霧ネットを張ったり、LED視線誘導灯、路上照明などで安全性向上を図るが、決定打に欠ける。自然現象には敵わないのだ。保険会社の調べによると、交通事故に占める死亡事故の発生割合は、霧発生時に2・5倍に。減速して車間距離を取り、点灯するならロービームにするなどの安全運転を心掛けるしかない。五里霧中にならないようご安全に。(コデ)