大分建設新聞

四方山

不動産

2024年01月24日
 皆さんは今年の4月1日から相続登記が義務化されるのをご存じだろうか。日本では土地所有権という権利を守るため、所有者を法務局が管理している登記簿に記録する登記制度があり、不動産を相続したことを知ったときから3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料が科されるというものだ▼この背景には「所有者不明土地」の問題があり、公共事業や復旧・復興事業を進める上での妨げになるだけでなく、長い間放置された空き地は雑草の繁茂やごみの不法投棄、不法占有者などの問題が生じる恐れがあるからだ。所有者不明土地は、国土交通省調査によると日本の国土の24%にのぼると推定され、九州全土の面積を上回る▼発生する大きな要因として相続登記の未了が挙げられている。速やかに相続登記がされないと相続人の数が膨大になったり、相続人が音信不通や行方不明になったりして、登記手続きが困難になる。これを予防するために相続登記が義務化されることになった▼ところで、登記をすれば所有権は守られるだろうか。登記簿には所在地と面積と所有者の住所・氏名が記載され、別に土地の形状と隣地との関係を示す字図や地積測量図が法務局に備えられているが、これで安心とはいかない。そもそも登記簿上の面積と実面積が違っていることが多く、特に山林・田畑は縄伸びといって税金を免れるために実際よりも少なく登記されていることが多い▼そこで重要になるのは隣地との境界だが、皆さん方は山林・田畑の境界を明確に出来ているだろうか。また明確な境界でも隣地の開発により人為的に動かされたり、豪雨や地滑り、地震などの自然災害で境界も動いてしまう。雑草処理や点検など維持管理を行い可愛がらなければ土地は逃げていく▼不動産といっても不動ではないのだ。(筋)
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