大分建設新聞

四方山

人口減少

2024年01月22日
 元日の能登半島地震、2日の羽田空港の航空機炎上事故と、あばれ竜(辰)の幕明けとなった令和6年。そんな正月、建設関連団体の年頭所感には、4月から施行される時間外労働の罰則付き上限規制問題が取り上げられていた。これまで猶予されていた建設業界はその対応に取り組んできたが、それでも難しいというのが現状のようである▼背景には働き方改革の要「週休2日制」実施も含めて、少子高齢化社会の人手不足がある。業界に入ってくる人の数、特に若い人の数が絶対的に足りないのだ。これは建設業界だけの問題ではなく、現場で働くあらゆる分野の仕事で起きている深刻な流れである。最近マスコミで取り上げられ始めた「8がけ社会」は、これから急速な人口減少により、働く世代が現在の8割にまで落ち込むと告げている。到来するのは2040年というから遠い話ではない▼さらに今から76年後の2100年には、わが国の人口が6000万人になるという不気味な予測も出ている。人口の半減である。まさかと思う人もいるだろうが、これからは高齢者が年間150万人単位で亡くなっていき、生まれてくる人はその半分というから半減傾向は避けられない見通しだ▼人口減少の影響は地方から始まる。建設業が下支えする地方のインフラの老朽化問題は人口減少が著しい地域でじわじわと拡大している。市町村レベルの自治体では予算面、技術者不足などの理由で修理や補修に手が回らない道路、橋、急傾斜地も多い▼今回の能登半島地震で被災の激しかった市町村の目を覆うような惨状の中で、土砂崩れ現場の道路啓開に、重機で懸命に挑む地元建設業者をテレビで見ながら、何かあった時の地方の厳しさを痛感する。他人事ではなく、次は自分の足元かもしれない。(石仏)
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