大分建設新聞

四方山

大分弁を使いこなす

2024年01月19日
 大分弁「よだきい」(面倒だの意)は平安時代の古語「よだけし」が転じた言葉だと最近知った。NHK大河ドラマ「光る君へ」は源氏物語の作者・紫式部の生涯を描くものだが、源氏物語の行幸の巻に「こもり侍(はべ)れば、よろづ初々しうよだけうなりにて侍り」という一節があるそうだ。現代語訳は「家にこもっているので、何事も慣れない感じでおっくうになってしまった」▼平安貴族が使っていた言葉が大分弁に残っているとすれば、普段使っているのが趣ある言葉に感じられないだろうか。ドラマで紫式部役の吉高由里子が「よだきい」と言うはずはないにしても期待せずにはいられない▼音韻(言葉の発声方式)にも地方色が表れる。大分弁は標準語と異なり、ガ行の鼻濁音はないのである。筆者は少年時代を滋賀県で育ったが、担任教師に鼻濁音「んが」を使えと何度も矯正された。帰郷してテレビやラジオの地元局を注意して聞くと、やはり鼻濁音が使われることが少ない。また、「せ」を「しぇ」と発声したり、ザ行音とダ行音の混同も特徴的。昭和ひと桁世代の伯母らが「しぇんしぇい(先生)」「どうきん(雑巾)」などと言っていたのが懐かしく思い出される▼各地で方言が出来たのは、山や川に囲まれ自由な交流ができなかった時代、その土地ならではの言葉が育まれたから。江戸時代は藩に分かれ、それぞれの藩の交流はなかった所為も。しかし例外もあるようだ。大分弁は全体的に中国、四国の方言との共通性があるといわれ、九州地方ではやや異質である。いずれも海沿いの地方であるから、漁民の交流によって交じり合ったのだろうか▼筆者は大分弁を話すのは不得手だが、近所の山歩き仲間が「どげえな」と誘いに来ると「どげえも、こげえもねえわ」と応えて笑いを誘っている。(コデ)
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