大分建設新聞

四方山

政変の年

2024年01月12日
 2024年が明けた。今年はどんな1年になるのだろうか。干支の辰年にちなんで、竜のイラスト入りの年賀状も数通頂いた。だが、干支発祥の地、中国では、「辰」とは万物が動き草木も成長して形が整った状況を現しているとされる。一説に、読みから架空の生き物である「龍」の字が当てられたという▼証券業界では、辰年は格別に縁起がいいとされる。「辰巳天井」という言葉があり、辰年は株価が上がり天井をつき、巳年でさらに跳ね上がるというのである。証券ジャパンの発表資料によると、1950年以降の日経平均株価における辰年の上昇率は27・9%で、干支平均の上昇率11%を凌駕している。加えて近年、阪神タイガースが優勝した翌年は株価が上昇し、これまた証券業界を沸かせる要因になっている▼一方で、辰年は「政変の年」とも言われる。前回の2012年は、下野していた自民党が民主党政権を倒し、政権を奪取して安倍晋三長期政権が誕生した。00年は急病に倒れた小渕恵三首相に代わり森喜朗内閣が発足した。まさに龍が体をくねらせるような政変劇である▼さらにさかのぼると、別の様相が見えてくる。1988年には未公開株を政界にばらまいたリクルート事件が発覚し、政界は大混乱に。翌年、竹下登内閣は倒れた。76年はいまだ語り草のロッキード事件が発覚し、田中角栄前首相が逮捕され、勃発した自民党内抗争のあおりで三木武夫内閣は退陣に追い込まれた▼そして、2024年である。永田町は、自民党最大派閥の安倍派を舞台にした裏金事件に大揺れである。政治状況はロッキード、リクルートの二大疑獄事件が起きた年と重なる。政治不信が高まっていることに、岸田文雄首相は昨年末「火の玉となって先頭に立つ」と語った。燃え尽きなければいいが。(熊)
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