大分建設新聞

四方山

建設改革

2024年01月10日
 「元旦や子供等は皆人となり」。新たな年を迎えると、子どもたちの成長に気付かされる。それはまた親にとっては喜びを感じる瞬間であろう。家族が集まり、希望に満ちた年の始まりを祝う情景を詠んだ句である。心穏やかに新年を祝う日に、大地震が日本列島を襲った▼震源地とされる石川県・能登半島では震度7を観測。地震の規模を示すマグニチュードは7・6と推定され、阪神大震災や熊本地震に匹敵する。多くの家屋が倒壊し、あるいは焼け野原となる中で、おびただしい人命が失われた。「まさか元日に…」。テレビニュースで報じられた被災者の言葉は悲痛だった▼冒頭の句は「天災は忘れられたる頃来る」という警句を残した物理学者、寺田寅彦の作である。寅彦は自著の『天災と国防』(1934年)で、災害についてこう記す。「国家を脅かす敵としてこれほど恐ろしい敵はない」と断じ、国防と同等に防災を考えるべきだと訴えた。軍国主義の時代にあって、勇気を要したことだろう。今もその主張は色あせない▼手前味噌だが、1月1日付の弊紙に掲載された佐藤樹一郎知事インタビューは誠に時宜を得た内容だった。弊社社長の防災・減災対策についての問いに、佐藤知事は「県土強靱化は県民の切なる願いであり、私の使命でもあります。災害から命と暮らしを守るため全力で取り組む」と踏み込んだ表現で決意を語った▼南海トラフ地震だけではない。豪雨の季節ともなれば、県土は甚大な被害に見舞われる。ひとたびことが起きれば、真っ先に現場に駆けつけるのは、私たち建設業界である。元旦紙面1面には「建設革新」のスローガンを掲げさせていただいた。技術、制度を含めたイノベーションであると同時に、思いを革める決意として記した。「地域の守り手」としてである。(熊)
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