大分建設新聞

四方山

契約金

2023年12月14日
 罪作りな紙面だ。12月12日付の各紙1面を見てそう思った。例えば、毎日新聞のトップ記事が「安倍派を集中捜査へ/裏金総額数億円か」と報じれば、二番手の記事は「大谷ドジャース移籍へ/10年1015億円」と見出しを立てる。大谷翔平の契約金の額に比べると、裏金と言いながら数億円では大したことなさそうなどと、不穏な考えが一瞬だけ頭をよぎる▼自民党の最大派閥が姑息な手段で裏金作りに狂奔していたのに対し、大谷は無比の二刀流を武器に北米プロスポーツ史上最高額の契約金を手にした。大谷といえば、右肘の故障で2度目となるトミー・ジョン手術を受けたばかり。リスク評価もあり、契約金は伸び悩むとも見られていたが、ふたを開ければ負傷はマイナスに作用しなかった▼けがをしたがゆえに、プレミアがついたような格好である。もちろん、名門として知られるドジャースがアスリートとしての大谷の能力を高く評価したからであろう。桁違いの契約金が発表された瞬間「メジャーの顔」は、名実ともに「世界一のプロ野球選手」「世界一稼ぐ大リーガー」の二つの称号を手にした▼かまびすしいのが、1015億円という金額の大きさを知る尺度について、である。中日スポーツ12月10日配信のネットニュースのセンスが光る。1万円札を積み上げると、高さ1015㍍、重さ約10㌧になるとか。大分市の予算規模はおおよそ2000億円だから、大谷2人分の計算になる▼指をくわえて羨望の眼差しかもしれないのが、大阪・関西万博の関係者だろう。無駄遣いと評判の悪いリング状の大屋根の総工費は約350億円。大谷なら2個つくってお釣がくる。会場建設費だけで2350億円。半分の規模で「大谷博覧会」にした方が集客力はよほど期待できるのではと夢想してしまう。(熊)
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