大分建設新聞

四方山

創造力と効果

2023年12月08日
 生成AIでつくった「ブラック・ジャック」が話題になった。何十年ぶりかに少年チャンピオンを購入し、早速読んでみたが何か物足りない。プロット作成からキャラ設定までをAIとの共同作業で行い、最終的な仕上げは人間の手によって完成したという。プロットを担当したのは大学の研究室、映画監督など、5チームになったらしい。となると制作期間とコストが気になる▼小説をAIで書くことも浸透してきて、AI小説の文学賞も登場した。ホリエモンの本もAI製だそうだ。この分では芥川龍之介や夏目漱石の新作にお目にかかれたりするかも。人間が自分1人の力で創造することこそが尊いと、今はそう思うのだが▼別府市は11月から生成AIの活用を始めた。その実証運用に対するアンケート結果(運用期間8~9月、対象者168人)によると、「仕事の効率が向上すると感じた」87%、「新たなアイデアや知識を得ることができた」68%、「今後も継続して利用したい」92%など、ポジティブな意見が大半。目標とする「業務の効率化や職員の負担軽減」はできていそうだが「市民サービスの向上」にどう反映されるだろう▼煩雑で膨大な業務を自動化できるという点から「人間の仕事が奪われてしまうのでは?」といった疑問はよく耳にする。しかし、AIは学習したデータから理論的に結論を導き出すのに対し、経験がものを言う建設業では創意工夫の必要がよく言われる。作業・設備の改善提案や作業手順の見直しなど、作業者から創意工夫を引き出し、災害防止につなげるための方策だ。そのためには作業者の創造力が欠かせない▼人手不足で生産性向上のために、建設業でもAIが活用されているが、一方で人間の創造力が必要とされるのは、いつの時代でも同じなのだ。(コデ)
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