縁は異なもの
2023年12月06日
「やっぱりサンマは目黒にかぎる」。よく知られた落語「目黒のサンマ」で殿様が家来につぶやく有名なオチである。目黒は東京の目黒区。最近は桜の名所として目黒川がよくテレビで紹介される。その目黒区と臼杵市が以前から交流関係にあることを、臼杵市民として恥ずかしながら最近まで知らなかった▼この二つの町をつないでいるのはサンマ。地球温暖化のせいか日本近海で不漁が続き、一躍〝高級魚〟となった、あのサンマである。コロナが収束気味になった秋の10月、目黒区では久しぶりに「目黒さんま祭り」が開催され、そこで無料提供された焼きサンマには臼杵の名産カボスが添えられた。イベントの前には目黒区長が臼杵市を訪れ、食文化を語り合い、また互いの地区の防災対策について意見交換した。臼杵市は同区と2006年から災害時相互援助協定も結んでいる▼目黒区との交流には別の仲間もいた。宮城県の気仙沼市。こちらは目黒区にサンマを提供している本物の水揚げ港。気仙沼から来たサンマを焼いて臼杵のカボスを絞りかけ、目黒で食べる。絵に描いたような三つの町のコラボが現実に行われ、臼杵でも気仙沼のサンマ祭りが数年前あった。臼杵城前の広場で食べた香ばしいサンマの味はまさに格別▼「目黒さんま祭り」で知り合った両市は、その後11年の東日本大震災で臼杵市が援助物資や人材派遣を行い、目黒同様援助協定を結ぶ仲に。縁は異なもの、まるで関係なさそうな三つの町が、庶民の魚サンマを縁に仲良くなり、助け合い協定まで結ぶ。愉快な話である▼最後にクイズ。臼杵市は目黒、気仙沼のほかにも協定を結んでいる町がある。静岡県伊東市、長崎県平戸市、神奈川県横須賀市。さて、この4市、縁は異なものの「縁」とは何でしょうか?ヒントは歴史上の外人。(あ)