大分建設新聞

四方山

サプライズ

2023年11月30日
 プロ野球、阪神とオリックスのリーグ優勝を祝うパレードが11月23日、地元の大阪、兵庫の両府県で開かれ、両球団合わせて100万人のファンが押し寄せたという。優勝パレードとしては過去最大規模になったと報じられた。だが、在京のスポーツ紙が一面トップで報じたのは、関西の歴史的な一日の話題ではなかった▼同じ日に東京ドームで開かれた巨人のファンサービスに、姿を見せた「ミスター」こと長嶋茂雄終身名誉監督(87)だった。療養中と伝えられていただけに、「サプライズ」の見出しが踊った。三塁側から車いすで登場すると、マイクを手に「来年は絶対に勝とう。大いに勝とう!勝つ!勝つ!勝つ!」と連呼した▼こちらもまた、確かにサプライズであった。馳浩・石川県知事が講演会で、東京オリンピック誘致運動を振り返って、内閣官房機密費を使って国際オリンピック委員会(IOC)の委員に贈り物工作をしていたと〝告白〟した。東京開催が決まった2013年当時、馳氏は自民党衆院議員として党の東京五輪招致推進本部長を務めていた▼証言は詳細だった。安倍晋三首相(当時)はまるでミスターのように「必ず勝ち取れ」と檄を飛ばした。「金はいくらでも出せる。官房機密費もある」と言い、100人余りのIOC委員に一冊20万円の特製アルバムを配ったという。贈与工作であり、IOCの倫理規定に反する。プロレスラーでもある馳氏。反則技である▼それにしても、工作の原資となった官房機密費である。今年度は約14億円が計上されているが、実態は厚いベールに覆われている中、使途の一端が初めて明かされた。そして汚職、談合まみれの東京五輪が出だしから、フェア精神を謳う五輪憲章の理念に反していたことを暴露したという意味では金メダルものだ。(熊)
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