大分建設新聞

四方山

ななせダム

2023年11月27日
 11月も下旬だというのに半袖でも過ごせそうな暑い休日、大分市野津原の「ななせダム」に紅葉狩りも兼ねて車を走らせた。訪れるのは初めてである。弊紙の記事で概要は知っていたが、頭の知識と五体で感じる現場は天と地ほど違う▼臼杵から高速に乗り光吉ICで降りた途端、渋滞に巻き込まれた。ノロノロとわさだタウンまで流れ、ようやく抜けて野津原の町並みから山道に差しかかると、間もなくダムの巨大な堤体が現れ、その先に「道の駅のつはる」が見えてきた▼休日なのでかなり多くの観光客が出入りしている。緑色に広がる貯水湖を取り囲む山々は青々と連なり紅葉はほとんど無い。12月も近いというのにまだ時期ではないのか。紅葉狩りは諦め、食事を済ましてダム周辺を散歩。貯水湖を横切る橋を渡って対岸からダムを見る▼堤高92㍍、堤頂長500㍍、湛水面積100㌶のロックフィルダムは壮観である。大分市民の飲料水はここから供給されている。むろん洪水調節というイザという時の大切な役目も担う。この大分川水系最大規模のダムは、当初「大分(川)ダム」の名称になるはずだった。弊紙の記者たちは最近でもその名前で呼んだりする▼事情を聞くと地元の人々の要望で変更になったという。ダムは大分川水系には変わりないが、本流の大分川ではなく支流の七瀬川に建造された。当然の話だが、大分という広域なイメージを想定していたのだろう。定礎式では地元の小学生が思い思いの願いを石に書いて埋めたというエピソードも聞いた▼中央部に山脈が連なる日本列島は急流に削られて谷の多い地形になる。従って国土面積は世界の61位にありながら、ダムの数は国土の広い中国、アメリカに次いで世界第3位(約3500基)と多い。そんな思いでダムを眺めた。(あ)
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