大分建設新聞

四方山

由布岳と砂金

2023年11月22日
 県北の小学校で催される行事の取材に社用車で向かう途中、今季の初冠雪となった由布岳の美しい姿があった。県南に住む筆者には滅多にお目にかかれない景色を拝むことができてラッキーである▼驚くのは早い。小学校に着いて臨時駐車場になっている校庭に乗り入れて車を降りるや否や、はじめて目にする光景が。何と校庭の地面がキラキラ輝いている。よく見ると砂金だらけである。筆者は心から驚いてカメラのシャッターボタンを何度も押した。この輝きが写っていればいいがと念じつつ▼帰社して写真を見せて話したところ、筆者の感動が上手く伝わらないようだ。鉱物に詳しい記者が言うには、それは黄鉄鉱だと▼黄鉄鉱とは鉄と硫黄が結びついたありふれた鉱物で、あらゆる岩石に含まれる。打ちっ放しのコンクリートの表面に見られることのある錆汁の一因になることもあるという。念のために靴底についた細粒を指先に取って見せると、やはり黄鉄鉱だと繰り返すばかりか「砂金ならこんなところにおらん」▼しかし、大分にはかつて金山があった。日田市中津江村にある鯛生金山は1894年に採掘が始まり、戦争のため中断されたが、1972年まで採掘が続いた。現在、金山の跡地は博物館になっており、その近くの「道の駅鯛生金山」では砂金採り体験ができるというではないか。地図で測ってみると、小学校とは直線距離で約36㌔離れているだけである。ありえない話ではないだろう。と思われる▼どうして一つまみでも持ち帰らなかったか後悔が残る。試験管に入れて飾ってみたり、小さな鉢植えに撒いてみたりしてもいい。砂金ではないとしても。砂金であれ黄鉄鉱であれ、その輝きは由布岳の白とともに眼に焼き付いて離れないのだ。今では砂金採りの気持ちがよくわかる。(コデ)
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