大分建設新聞

四方山

四文字熟語

2023年11月21日
 日本将棋連盟会長を務める羽生善治さんは、全盛期の7冠を達成した当時、終盤に圧倒的強さを発揮するスタイルから「羽生マジック」と呼ばれた。羽生超えの将棋界初となる8冠制覇を達成した藤井聡太さんは、その棋風から「AI超えの一手」とたたえられたり、こじつけすぎるが「読み切って太」と呼ばれたりしているようだ▼偉業を達成した藤井さんに、岸田文雄首相から内閣総理大臣顕彰が授与された。藤井さんは返礼品として、盤の箱に自ら「雲外蒼天」と揮毫した将棋盤を岸田首相に贈った。試練を乗り越えたところに青空が広がる、という意味である。さながら「雲外暗天」のまっただ中にある岸田首相は、さぞかし感激したことだろう▼低空飛行を続ける内閣支持率だけでない。今度は副財務相の神田憲次衆院議員が事実上の更迭に追い込まれた。9月に内閣改造したばかりというのに、文部科学省の政務官を務めた山田太郎参院議員、副法務相の柿沢未途衆院議員に続いて、政務三役の3人目のスピード辞任である。問題なのはクビが飛んだ原因である▼女性スキャンダルの山田氏は別にして、法務行政のナンバー2にあった柿沢氏は、公職選挙法違反事件への関与が疑われ、当の法務当局である東京地検特捜部の捜査対象者である。税務を所管する財務省のこれまた序列2位の神田氏は、過去4回に渡って差し押さえを受けていた。常習的な税金滞納者と言われても仕方があるまい▼まるで横綱昇進の口上のような「不撓不屈」「一意専心」といった勇ましい四字熟語を好んで口にする岸田氏。内閣改造に当たっても「適材適所」を連発したが、副法相が検察に狙われ、副財務相が税制を踏みにじっていたというのは皮肉である。それこそ政権が直面している状況は「前途多難」ではあるまいか。(熊)
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