大分建設新聞

四方山

失敗

2023年11月16日
 「失敗学会」というユニークな学会があることを知った。理事長の畑村洋太郎・東京大名誉教授は日立製作所の技術者の出身。人はなぜ失敗するのかを考える中で、失敗学という分野を切り開いたという。ホームページがユニークだ。「失敗知識データベース」には、建設、鉄道、自然災害などといった分野別に「失敗」の実例が掲載されている▼いずれ今回の事故も載るのだろうか。今年度中の就航を目指す、大分空港(国東市)と大分市を海上ルートで結ぶホーバークラフトのことである。操縦士の訓練中に、英国から届いたばかりの「Baien」が空港近くで事故を起こした。写真を見ると片側の舵は外れてしまっている。浮上のため空気をためるスカートも損傷した▼あろうことか、大分の海での訓練初日だったという。操縦士も緊張していたのかもしれない。ビジネス教材として知られる「マーフィーの法則」には「失敗する可能性があれば、いずれ失敗する」「洗車し始めると雨が降る」という有名な警句がある。ここぞという場面に、人間は失敗を犯してしまうものらしい▼失敗学会の畑村理事長は朝日新聞デジタルのインタビュー記事でこんなことを言っている。「『失敗は失敗のもと』です。失敗を通して学び取ったことだけが次の『成功のもと』になる」。なるほどその通りなのであろう▼岸田文雄首相は、首相職や閣僚ら特別公務員の給与を上げる給与法の改正案を提出した。ネット上では「物価高で国民生活が苦しい中、お手盛りか」などと評判はよろしくない。岸田首相は「増額分は自主返納する」と釈明に追われているが、ならば何のための給与アップなのか、という声が出てくるのは当然であろう。何かをなすための「失敗」ではなく、政治センスの欠如が露呈したようにも見える。(熊)
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