大分建設新聞

四方山

左利きグローブ

2023年11月15日
 大リーグの大谷翔平選手が、全国の小学校約2万校へ野球グローブを三つずつ寄付するそうだ。グローブは右用が二つ、左用が一つという。さすが、大谷選手というべきか。左利きのことまで考えてくれる大谷選手に、左利きの私は感謝している▼今の時代はどうなのか分からないが、私の高校時代、体育の授業でソフトボールがあった。グローブは全て右利きのみで、クラスで唯一の左利きだった私はソフトボールの授業が嫌だった。右用グローブでボールを捕ることはできるが、うまく投げることができない。だから、一度、グローブを外してから投げていた。読者の中にも、同じようにつらい思いをした人がいるかも▼「私の彼は左利き~♪」という歌があったが、左利きというだけで特別感が出るかもしれない。事実、左利きの人の割合は約1割であり、社会は圧倒的に右利き優先なのである。私も右利き社会の洗礼を受けたことがある。都会で初めて自動改札機を通った時、自分から見て左側に切符を入れ、右側を通ろうとしてゲートが閉まったことがあった。左利きだから左側に入れるのは当然の行為だが、改札機は許してはくれない。田舎者丸出しで恥ずかしい思いをした▼9割が右利きなら、社会的にみても多い方に合わせるのは当然である。だから、大谷選手が右利きグローブを三つ寄付しても、何も問題はなかっただろう。しかし、一つは左利きを用意するという考えに大いに感謝したい。実際、野球選手の左利きの割合は一般より高いので、将来、このグローブを使った左利きのプロ野球選手が出てくるかもしれない▼ある本にこう書いてあった。「左利きは右利き社会の中で『10人のうち1人しかいないマイノリティ』ではなく、『10人にたった1人だけの選ばれた者』」と。(せい)
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