関西対決となったプロ野球日本シリーズ。阪神がオリックスを降し、38年振りに日本一の座に輝いた。地元の大阪市水道局が面白いニュースを発表した。優勝が決まった第７戦が行われた５日夜の水道使用量についてだ。市内約１６０万世帯の毎時水道使用量は通常に比べて２割ほど減った約５万３０００立方㍍だったという▼熱戦に水を差したくないとばかりに、風呂や洗い物を我慢していたのだろうか。スポーツニッポン11月７日紙面に掲載された市水道局担当者のコメントを読んで口元が緩んだ。「トイレを我慢して〝アレのアレ〟を待っていたのではないでしょうか」▼日本一が38年ぶりなら、関西地区における第７戦の平均世帯視聴率は38・１％をマークし、前回優勝の１９８５年の40・１％に肉薄した。ネット時代となり地盤沈下が指摘されるテレビ業界にとって、久しぶりの朗報で盛り上がっているらしい。阪神優勝は「サンパチ」という数字に祝福されたようだ。これに対して「ニッパチ」の数字に呪われそうな場所がある。永田町の首相官邸である▼「経済、経済、経済…」と連呼する岸田文雄首相が所得税などの減税を盛り込んだ経済対策を発表したのは２日のこと。それを受けての共同通信の世論調査によると、岸田内閣の支持率は28・３％と、10月に比べて４㌽下落したことが分かった。むろん過去最低である▼政権浮揚の策として打ち出した減税の措置が功を奏すどころか、裏目に出てしまった格好だ。要は国民から「何をやりたいのか分からない」と見透かされたのであろう。世論調査に呼応するように、各紙は「解散年内見送り」と一斉に報じた。側近のリークで、岸田氏本人は新聞を読んで仰天したという話も永田町界隈ではささやかれる。「アレのアレ」の始まりか。（熊）