大分建設新聞

四方山

登山と解体

2023年11月10日
 県南地区の彦岳(標高約635㍍)は地元で親しまれる山。その麓が筆者の故郷だ。ここに生まれ4歳まで暮らし、各地を転々とした後、60歳目前に帰郷した。最近聞いた噂では、コロナ禍も落ち着き、ここ数年は中止だった1月の登山大会が復活するらしい▼3年前、この山に風力発電事業計画が持ち上がった。しかし、クマタカの生息地域であることなどの環境配慮や、地元の反対で頓挫。実現していれば自宅から2㌔ほどの場所に最大高さ200㍍の風車が回っていた。地元住人としては落ち着かないこと甚だしい▼最近よく見るテレビ番組にNHK総合「解体キングダム」がある。「普段見ることのできない現場の奥の奥に潜入し、驚きの職人技に密着する」(公式サイトより)。都心部の商業ビル、巨大変圧器、ガスタンクの解体や、橋梁の架け替えなど、さまざまな難工事に挑む解体業者の技術力、奮闘が興味深い。ものづくりするだけが建設業ではなく「ものこわし」するのも大切な事業であることを知った▼先日は、風力発電の巨大風車10基の解体を紹介。解体の期限は半年。同サイトによると「いま風車の解体は全国で行われている。風車の寿命は20年程度と短いことや、廃棄後のリサイクルの課題などにも焦点を当て、再生可能エネルギーのこれからを考える」という内容だ(WEBサイト「NHKプラス」で見逃し配信あり)。番組の見どころは、高さ65㍍の強風吹きすさぶ中、30㌧もあるローター(回転部分)をいかに鉛直方向に地上に降ろすか。固定用のボルトが抜けないという想定外の事態に、クレーン運転士の腕が試される▼じつは、筆者自身の彦岳登山は7合目止まり。新年は、ご来光を拝みに行こうか。そこには先祖代々変わらぬ眺めがある。お楽しみはこれからである。(コデ)
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