阪神優勝と解散
2023年10月19日
インフルエンザといえば、冬場の流行というのが相場だが、今年は早くも猛威を振るっている。厚生労働省が13日に発表した集計値によると、全国約5000ある定点医療機関に、2日~8日の間に報告された季節性インフルエンザの新規患者数は1定点当たり9・99人に達した。注意報レベルの10人が目前に迫っている状況だ▼例年だと、インフルエンザの患者が増えるのは12月から3月にかけてである。ところが今年は真夏の8月ごろから流行の兆しを見せはじめ、東京都では9月21日に「注意報」が発令された。統計を取り始めた1999年以降では最速記録となった▼1地点当たり9・99人という数値にしても、前年同時期が0・01人だったことを考えれば、まさに前代未聞の異常事態である。そもそもインフルエンザワクチン接種にしても、これから始まろうという時期である。対策が後手に回る中、さらなる大流行も指摘されている▼季節外れのインフルエンザの蔓延に軌を一にするかのように、永田町ではまたぞろ例の風が吹き始めた。そう、「解散風」である。岸田文雄首相は10月20日に臨時国会を召集する。22日には衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の補欠選挙の投開票が行われる予定で、その結果によっては解散に踏み切るのではないかという見方が急浮上している。6月の通常国会でも、解散権をちらつかせ求心力を高めた経緯もある▼もう一つ、現実味を帯びさせているのが、阪神のセ・リーグ優勝という。平成以降ではこれまでに阪神がリーグ優勝したのは2003年と05年の2回だが、両年とも解散総選挙が行われている。阪神の岡田彰布監督は「優勝」ではなく「アレ」という言葉を使って頂点に立った。そのジンクスにならって「アレします」などとは…。言うわけがないか。(熊)