藤井聡太さん（21）が将棋界の８タイトルを独占するという、新たな「伝説」をつくった。８冠目となる「王座」戦を制し、記者団から「これからは全タイトルで追われる立場になった」と問われた、藤井さんの言葉が印象的だった。「盤を挟んでしまえば違いは全くない。これまでと変わらない気持ちでいいのかなと思っている」▼どんな状況に直面しても動じまい――という藤井さん流の「自然体宣言」に聞こえた。「Ｂｅ　ｗａｔｅｒ」という言葉が思い浮かんだ。「水になれ」とは、カンフー映画で世界的スターとなったブルース・リーの言葉である。代表作は米国と香港の合作映画「燃えよドラゴン」（１９７３年）。公開の直前に32歳で夭折した。今年で没後50年を迎える▼武道家であり、近年は哲学者として紹介されることもあるリーは言う。「頭を空にしろ。水のように形をなくせ」。なるほど水は形があるようで、決まった形はない。コップに注げばコップの形になるように、状況に応じて姿を変える。変化自在に、である。それが武道家としてのリーの極意だった。だが、年を取るにつれて順応性は薄れる。経験が邪魔するのだろう▼その点、子どもたちは水のような順応性を発揮する。県建設業協会青年部などの手で土木建築フェスタが14日、大分駅前広場で開かれ、駅前は歓声に包まれた。ショベルカーの操作体験など、子どもたちは臆することなくチャレンジしていた。生き生きした笑顔に業界の魅力が伝わったのではないかと思う▼手前味噌になるが、弊社は創刊40周年記念事業として、ノートを市内の小学校に寄贈した。表紙には建設現場の親しみやすい写真をあしらい、表紙裏には建設業の仕事をイラストで紹介した。ノートは白紙である。どんな夢を書き込んでくれるのだろうか。（熊）