大分建設新聞

四方山

レッテル

2023年09月28日
 一度傷ついたブランドイメージを回復させるのは、容易なことではない。例えば1兆円の売り上げを誇った雪印乳業グループは、2000年の集団食中毒事件、その2年後の牛肉偽装事件で解体に追い込まれた。雪印食品は廃業となり、中核企業の「雪印乳業」の社名は消えた▼「日本ミルクコミュニティ」を経て「雪印メグミルク」として再生したのは11年のこと。何とか社名に「雪印」の名前を残せたが、名門「雪印」であっても、一度泥まみれになった「雪印乳業」の名前を存続させられなかった。社名に染みこんでしまったマイナスイメージは簡単に払拭できないということであろう▼多数の男性アイドルを擁し「帝国」と呼ばれたジャニーズ事務所が大揺れだ。周知のように創業者のジャニー喜多川氏の性加害問題が発端である。経済同友会代表幹事の要職にある、サントリーホールディングスの新浪剛史社長が「所属タレントの起用はチャイルド・アビューズ(子どもへの虐待)を認めることになる」などと発言したことで、同事務所のタレントの広告起用を見直す動きが加速する▼当初は社名変更せずに、事務所存続を図ろうとしていたジャニーズだが、スポーツ紙には「改名は決定的」などの見出しが躍るようになった。そんな中で救世主が現れた。経団連トップの十倉雅和・住友化学会長である。「日々研さんを積んでいる人の機会を奪うのは問題」と、ジャニーズ擁護論をぶち上げた▼新浪氏への対抗心もあったのかもしれない。だが、ネットは炎上騒ぎ。十倉氏の持論である消費増税論にかこつけて「研さんを積んでいるのは労働者も同じ。その生活を増税で奪おうとしているのは誰なのか」といった批判の声が飛び交う。これまた、一度貼られたレッテルを剝がすのはなかなか難しいようだ。(熊)
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