大分建設新聞

四方山

尾畠さん

2023年09月26日
 敬老の日に併せて「スーパーボランティア」として知られる日出町の尾畠春夫さん(83)のインタビュー記事が共同通信によって全国に配信された。ボランティアについてこう語る。「ひと言でいうと『恩返し』やな。あちこちでお世話になった方たちの顔を思い浮かべながら、しよるんです」。飾りのない言葉が胸にストンと落ちる▼幼少のころから奉公に出て、勉強の機会がなかった、とも。「学がない」と言いながら、その言葉は深い。敬老の日に特別な祝いは必要ないと言う。それよりも「子どもたちには、清く正しく育ってもらいたい。そのために、できるだけ〝清い種〟をまいておこうと、心掛けちょるんです」。若い世代を慈しむ素直な言葉は美しい▼国会議員といえば、国民の代表であり、範を示す立場である。昨今の永田町の話題を見れば、いまさらきれいごとを、という声が聞こえてきそうだが、少なくとも積極的に〝憎しみの種〟を撒くようなことはなかったように記憶している。ところが、このほど札幌法務局から「人権侵犯」と認定された杉田水脈衆院議員のブログ投稿は異質だ▼7年前、国連会議の出席者に触れ「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」「同じ空気を吸っているだけでも気分が悪くなる」と自身のブログなどに書き込んでいた。国会議員が人権侵犯に問われるのは異例だ▼国民あるいは民族間に分断を招く憎悪の言葉を投げつけてどういうつもりなのか。前東京都知事の舛添要一氏はSNSに投稿し「人権意識の希薄な者が国会議員であることは、日本の恥である」と厳しく批判した。善意の種を撒こうと活動する、尾畠さんを少しは見習ってほしいとも思う。その尾畠さん、胃がんの手術を受けたという。いつまでもお元気でと願うばかりだ。(熊)
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