大分建設新聞

四方山

資格は活かせ

2023年09月22日
 自慢するほどではないが、昨年、職業能力開発校の建築科で学び、3級建築大工技能士という国家資格を取得した。実技試験は材料に墨付けし、桁・梁・棟木などを加工。縮小版の寄棟造りの小屋組(屋根を支えるための構造)を制限時間2時間45分内で組み立てる。訓練生14人全員が同じ検定試験に合格した▼4月に入学してカンナ研ぎの毎日は2カ月近くも続いただろうか。また加工するための印を付ける墨付けは、長い材には墨がきれいにつかない。そしてノミと金づちで穴を掘るホゾ継ぎは、墨付け通りに加工するのが難しい。こうした作業をきちんと行うには、どれも手工具の手入れが重要。「道具が仕事する」という言葉も耳にし、身をもって実感できた。電動工具を使えば、あっという間にできる作業に違いないが、伝統の技を使える満足感も▼そもそも同校に入学したのは正直な話、就職のためではない。古くなった自宅の修繕やDIYに生かせるという打算的理由である。ところが出版関係の仕事が長い自分が建設業界に関わることになったのだから我ながら意外だ。蛇足だが、同校の修了式を弊紙が取材した記事を見つけ不思議な縁も感じた▼かつて砂防事業や耐震構造、住宅リフォームなどの取材経験はあるものの、建設業界は初めて知ることが多い。特に7月の災害対応を目にして頭が下がる思いをした。9月から豊肥地区を担当することになり、中九州道を使うことが増えた。旧国道57号に比べると雲泥の差であることは周知の通り。地域の皆さんが全線開通を熱望する気持ちもよく分かる▼さて、建築大工技能士の資格は如何に。今の住まいは築50年以上で傷みが目立つ。玄関先の庇が腐食し、外壁はしっくいが剝がれるという始末。「資格は使ってこそ生きる」とは分かっているのだが。(コデ)
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