大分建設新聞

四方山

寝込む

2023年09月20日
 数日、流行り病で寝込んでいた。高熱が続き、ベッドで唸るだけで3日が過ぎた。食事も摂れず、口にするのはスポーツ飲料だけ。起き上がると目まいがし、喉は激痛で咳が止まらない。満身創痍という言葉がぴったりで、もう二度とかかりたくないと、今は予防対策に一層力が入るようになった▼そう感じるもう一つの理由が「主婦が寝込むと家が大変なことになる」という、あの話を身をもって体感したことだ。台所に食器が置きっぱなし、洗濯物は籠に山積み、空の麦茶ポットが冷蔵庫のドアポケットを占領、リビングに使用済みタオルが落ちている―そんな状況を目の当たりにし、堪忍袋の緒が切れた私は「こんな家じゃ養生しようにもくつろげない!片付けろ!」と怒鳴った▼熱のある体を起こして皿を洗う私を見て、さすがに危機感を抱いたのか、旦那が掃除と洗濯を始めた。ひと寝入りして起きてみると、部屋がスッキリ片付いている。氷枕も替えてあり、枕元にはのど飴や加湿器も。なんだ、やればできるじゃないか▼健康のありがたみをこんなにも感じたのは生まれて初めてだった。1人暮らしなら迷惑を掛けるのは職場くらいだが、同居人がいる状況では、1人が感染症で寝込むと、途端に家族全体が機能不全を起こし、あれもこれも上手くいかなくなる▼ちょっと可哀想なのが、旦那は「一つできると一つ失敗する」タイプのようで、だいぶ体調が回復した私に恐る恐る一枚のTシャツを差し出してきた。今年買ったばかりの白Tシャツで、そこには大きな青いシミが。どうやら水性ペンを一緒に洗濯してしまったらしく、叱られた子犬のように下を向いている。「いいよ、仕方ないよ」と言い、Tシャツは捨てた。もしも私が元気だったなら、地獄の底より恐ろしい目に遭ったに違いない。命拾いしたな。(万)
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP