大分建設新聞

四方山

津久見市役所

2023年09月19日
 巨大な楼門に圧倒される。まちの中心部にありながら、そこだけは森閑とした空気が流れているよう。津久見市のシンボル、赤八幡社。鎌倉幕府による統治が始まろうとする12世紀末に創建されたという。だが、元々は別の場所にあったらしい。キリシタンに改宗した大友宗麟によって焼き討ちされ、その後、現在の地に移転したとも伝わる▼その祟りではあるまいが、宗麟は津久見の地で没した。まさかその呪縛が…と思わせるような事態である。朝日新聞9月15日付紙面によると、市役所の新庁舎建設計画に赤信号が灯っているという。庁舎本体工事の入札が業者の辞退で不調に終わり、市は対応に苦慮しているらしい▼原因は建設工事費の高騰である。市の見積もった工事費では、割に合わないと業者が二の足を踏んだようだ。建設から65年がたち、新庁舎の建設は喫緊の課題である。おまけに建設費34億円のうち22億円は国が負担する緊急防災・減災事業債でまかなう計画だが、事業債の活用は2025年度中の竣工が必要条件。設計を見直す時間はなく、市は困惑しているという▼25年のタイムリミットに向けて、同じように頭を抱えなくてはならないのに、どこか余裕なのが大阪・関西万博を熱心に誘致した大阪府と大阪市である。当初計画では1250億円だった会場建設費は誘致決定後の20年、1850億円に膨れ上がったかと思えば、2000億円台になるのは必至の情勢という。どんぶり勘定である▼旗振り役の日本維新の会は「大阪の責任ではない。国家事業だ」と開き直り、政府もそれを甘受。国は負担する方針に舵を切った。むろん、税金である。「身を切る改革」を掲げる維新。助成金行政を「公金チューチュー」などと厳しく批判してきたはずだが、これこそ「天つば」と言われそう。(熊)
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