大分建設新聞

四方山

姫路城の野球

2023年09月13日
 以前、姫路城を訪れた時のことをこのコラムで触れた。今回は日本一の名城ではなく、プロ野球の公式戦が行われた姫路城の話。筆者も先日耳にして驚いた。プロ野球の試合が城の中で行われていたなんて▼そこで調べてみると、確かに1948年11月9日、阪急対中日と南海対金星(現在の千葉ロッテの前身の一つ)の2試合が姫路城内「三の丸球場」で行われていた。姫路城だけではない。当時は全国各都市の城(城跡含む)でプロ野球の試合が開催された▼日本のプロ野球が誕生したのはそのわずか12年前。早慶戦や中等学校野球選手権大会(今の甲子園大会)はすでに大人気のスポーツで、プロ野球も人気スポーツにしようと懸命に後追いしていた。全国各地の城に球場を建設したのは、街の中心部にあり、観客を集めやすかったからだという。ただ、球場といっても常設の観客スタンドなんかありません▼観客は城の石垣の上から見たり、中には天守閣から眺めていた人もいたそうで、今の組織立ったイベント軍団のような派手な応援風景にうんざりしているわが身には、なんとものどかでうらやましい風景に見える。お城の球場は、その後各地に新しい球場が建設されるにつれて急速に消えてしまう。姫路城「三の丸球場」でプロ野球公式試合が行われたのはその日だけ、わずか一日だけだった▼ふと思い出す。小学生の頃、地元の城跡の二の丸公園広場ではよく野球の試合が行われていた。簡単なバックネットしかない球場に町の商店街の対抗試合や中学校の公式試合を見に行った。当時は野球のルールをよく知らない人もいて、バットでボールを打った後、三塁方向へ走り出すおじさんを「そっちじゃない!」と叫ぶ人、爆笑する人、とにかく楽しかった。もう一度姫路城を訪れ、三の丸に立ってみたい。(あ)
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