大分建設新聞

四方山

台湾と日本

2023年09月06日
 7月半ばまで沖縄県の石垣島に住んでいた。同島は本土よりも台湾が近いという位置にある。沖縄本島の那覇市からでも約400㌔離れているが、台湾からはわずか約220㌔で、常に国境を意識せざるを得ない土地柄だ。それだけに尖閣諸島問題や台湾有事といった中国、台湾がらみのニュースが常に身近である▼最近は北朝鮮の「人工衛星」と称する事実上の弾道ミサイル発射に備えるため、自衛隊が地対空誘導弾(PAC3)を島内に長期間配備したことが島内を揺るがせた。今年3月には陸上自衛隊石垣駐屯地が開設され、その存在がクローズアップされている。さらに尖閣問題対応のため、海上保安庁の巡視船が中国海警局の公船対応で日常的に尖閣海域に出動するなど国防問題で揺れ動く国境離島の姿がある▼一転して大分の地には自衛隊の駐屯地はあるものの、国防問題で緊迫した動きはみられない。無論、沖縄の先島の状況と比ぶべくもないが、ただ九州は本土の中ではより韓国、北朝鮮、中国、台湾に近く、これまでの関係性も深い。それだけに国防問題とは無縁ではない▼そこで注目されるのは、熊本県菊陽町で建設が進んでいる世界最大手の台湾の半導体受託製造企業(ファウンドリ)のTSMC(台湾積体電路製造)熊本工場の存在である。産業のコメといわれる半導体は家電製品、自動車、航空機などあらゆるハイテク製品に使われている戦略物資である。TSMCの動向は世界の行方を左右するといってもいい。そして日本の経済安全保障にも大きく寄与することは間違いない▼台湾は国交がなくとも日台関係を極めて重要視しており、世界のどの国よりも日本を理解している。それだけにこの機をチャンスとしてとらえ、経済ばかりでなくあらゆる面で日台の絆をさらに強くすべき時だ。(ゴウ)
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