大分建設新聞

四方山

大河ドラマ

2023年09月04日
 NHKの大河ドラマを一種の歴史の勉強として楽しんでいる人も案外多いのではなかろうか。ドラマが終わった後には舞台となった場所に現存する史跡や古戦場などが紹介されるので、ドラマの歴史が本当の歴史だと思い込んでしまう人がいても不思議はない▼現在放映中の「どうする家康」は、そういう意味では話題の多いドラマのようで、新聞などでも「いくらドラマとはいえ、あまりにも史実を無視している」と腹を立てる人、「あんな家康、いるわけがない。ミスキャストだ」と配役に文句をつける人、いろいろである。もちろん好感をもって見ている人もいるわけだが、人気のバロメーター視聴率はかんばしくない、というのがメディアの論調のようだ▼かくいう筆者も当初は今風の若者タレントが主役というので無視していたのだが、本能寺の変の巻は元が歴史好きの性分、つい見てしまった。家康が奥さんと長男を信長に殺されたと思い「信長を討つ!」と叫んだ時は驚いたし、知性のかけらもない明智光秀や、ほとんど漫画に近い羽柴秀吉のキャラクター作りに度肝を抜かれたりと、たしかに歴史以前の部分で疲れるドラマではある▼そこまで遊べるなら、ぜひ付け加えてもらいたい戦国武将がいる。土木の神様と言われる加藤清正の並外れたインフラの数々だ。熊本城など築城の名手としては有名だが、大分・大野川での治水工事や、今も熊本で現在進行形のインフラとして役立っている「鼻ぐり井手」「渡鹿堰(とろくせき)」「遥拝堰(ようはいせき)」などは、大分、熊本の人以外はまず知らないだろう▼熊本の最初の二つは農地の新田開発のために工夫した用水路、あとの一つは川の急流を弱める治水策だけでなく、アユなど自然環境を守る堰で、いずれも現代の技術に劣らぬ土木遺産だ。NHKさん、ぜひ。(あ)
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