怖い話
2023年08月30日
夏の夜のお供と言えば、花火に蚊取り線香、そして怪談である。先日、夜中にうっかり映画「リング」を観てしまった。それ以来、テレビ画面が怖い。消えていても、そこに髪の長い白いワンピースの女が映っているのではないかとドキドキする。室内干しのタオルが揺れるのが映り込もうものなら、わざわざ物干しの位置を変える。そんな私を、旦那は「そんな大げさな」と一笑する▼つい先日、わが家のリビングにゴキブリが現れた。なかなか大きく成長したクロゴキブリで、長い触角を揺らしながら壁を移動していた。見つけた瞬間、すかさず手元にあった雑誌を丸めて成敗したのだが、旦那は短い悲鳴を上げて反対側の壁際まで後ずさった。「そんな大げさな」▼世界には約3500種類ものゴキブリが存在しているが、日本に生息しているのはその内の52種類で、その中でも私たちがよく目にするのは、クロゴキブリとチャバネゴキブリの2種類だ。沖縄や鹿児島に行くとワモンゴキブリという大きめサイズのものも生息している。体長が5㌢を超える実物を目にすると、通常の倍ほどのサイズにも見えて驚く。いずれにしても、多くの人が気持ち悪いと、生理的に受け付けないのがこの生物だろう▼夏らしい、ヒヤッとする話をしよう。大学生の時、アルバイト先の小売店で棚にジュースを補充しようと、持ち手部分が穴になったタイプの段ボールケースを持ち上げた時の話だ。手を差し込み持ち上げた際、左手が取っ手と「何か」を一緒に握り、押し付けて潰した感触が広がった。慌てて手を引き抜くと、そこには茶色い羽や細い足の様な物が一本、二本…▼しかし、気付けば明日はもう9月だ。涼しくなる話など必要なかったかもしれない。静かに、だが確実に、秋の足音が近づいてきている。(万)