大分建設新聞

四方山

草刈りから見える日本

2023年08月23日
 お盆が過ぎて、夕方になると「ヒグラシ(セミ)」が盛んに鳴くようになった。少しずつ秋が深まって来るように感じるが、近年は暑い夏が長く続くようになり秋がより短く感じるようになった。春、秋が短く、温暖化の影響か冬も短く思える。今年も東北で気温40度を観測し、北海道では豪雨による水害が発生するなど気候の変化が著しい。確実に温暖化が進行しつつあるという▼先日、実家がある地区で道路の草刈り作業に参加した。言うまでもなく高齢化で、もちろん私が最年少だ。暑い中での開始前に地元の区長が「体調の悪くなった人は、申し出て下さい。また、くれぐれも熱中症に注意して休憩をしながら事故の無いように」と訓示。参加者は気合十分で作業に取り掛かった▼谷地形で、荒れ果てた旧水田の間を走る里道は、ほとんど利用者もないであろう様子が見て取れた。草は伸び放題で人の背丈ほどもあり草刈り作業は困難を極めた。しかし、それ以上に「蒸し暑さ」が体力を奪う。猛烈な暑さと、うるさい「セミ」の声が襲い掛かる。何と言っても蒸し暑さに体力を奪われてしまうことでヘトヘトだ▼見渡すと、草刈り機を背負った高齢者ほど活発に元気よく作業を行っている。農作業で身体が暑さに慣れているという。だが、絶対に無理はしないらしい。木陰で適度に休みながら行う草刈りはベテランそのものだ。自然を知り、自然と共に生き抜いている大先輩には見習うことが大いにあった。生きている限り「里山」を守り抜いて生活している精神に感服した▼最年少の私は、体力はあれど、さすがにこの蒸し暑さに負けてしまった。私がどれだけ作業に貢献できたか定かではない。戸数も減り、参加者も減少する中、道路の草刈り作業はいつまで継続できるか。これが先進国日本の現状だ。(勇)
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