大分建設新聞

四方山

植物と迷信

2023年08月17日
 都会から帰郷して2年になるが、一番の収穫といってもいいのが植物を採取して育てる楽しみ。カエデやイチョウなどの苗を山採りし、盆栽まがいに仕立てている。狭いアパートでは栽培不可能な巨大植物も楽々育てられる▼先日、近くの林にクワズイモの群生地を見つけ、一株持ち帰った。宮崎や沖縄でも見られる亜熱帯植物で、見た目は巨大なサトイモのようだが園芸店で観葉植物として人気がある。クワズイモの名の由来は、弘法大師がある村で芋を焼いているのを見て食べたいと頼んだが断わられた。弘法が去って村人が食べようとすると、硬く食べられない芋に変わっていたという伝説から▼真偽はナゾとしても有毒であるのは確かで、姿形がサトイモに似ていることからこれを食べて食中毒で搬送される人が毎年いるので要注意だ▼また、ある日、根を切られた巨大ソテツの株を山中で発見。造園業者が始末に困った顧客に頼まれて遺棄したようだ。ソテツは子株(脇芽)で増えると知り、もぎ取って持ち帰った。ソテツは強靱で管理の手間のあまりいらない植物らしい。それに「金運アップの縁起物」と言われる一方「金食い樹」とも。安易に庭に植えると巨大化して持て余すから、山に捨てられていたのもわかる▼ソテツは、自宅に植えると手足を患うとして昔から忌み嫌われる存在でもある。迷信に違いないが植物にまつわるものは多い。サクラを植えると花びらが散って縁起が悪い。ツバキは花ごと落ちるので「打ち首」を連想。ビワを植えると病人が出る―などなど。逆に縁起を担ぐのは、センリョウ、マンリョウはお金が儲かる。ナンテンは難を転じるなど▼迷信も縁起担ぎも人間が勝手に考えたもの、こじつけとしか思えないものもあり、自然界の植物には根も葉もない迷惑な話だ。(コデ)
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