大分建設新聞

四方山

孤独

2023年08月10日
 お笑い芸人コンビ「TIM」のゴルゴ松本さんをご存じだろうか。「いのち!」の掛け声に併せて、右足一本立ちで両手を斜めに下げて「命」の漢字を表現する。題して「人型漢字」。一見するとこわもて。けれども、心根の優しい人柄であるという▼少年院のボランティア慰問を長年続けていることを毎日新聞記事(7月9日付東京夕刊)で知った。法務省の矯正支援官というから生半可な覚悟でない。こんな具合で講演をしているという。例えば「吐」という字を書いて、「人間はどうしても弱音や悪口を『吐』いてしまうが、これを少なく、つまり『-(マイナス)』にできる人は夢が『叶』う」という具合らしい▼なるほどと思う。記事は「1人でも多く、前向きに頑張ってくれる若者が増えるといいな」というゴルゴさんのコメントで締めくくっている。こじつけだろうと思いながらも、どこか心に響く。あの非道な若者たちもゴルゴさんの講演を聞いていれば、あるいは違った道が開けたのではないか…。そんな考えが頭をよぎる▼2021年、東京都内の私鉄京王線で乗客を切りつけ放火した罪で26歳の男に懲役23年の判決がくだった。京王線事件の2カ月前にも同じような事件が小田急線車内で起きたが、こちらの事件では37歳の男に懲役19年が言い渡された。ともに「社会への恨み」が動機とされ「孤独」がキーワードとして指摘された▼米国の公衆衛生政策を統括する厚生省のビベック・マーシー医務総監が先ごろ「孤独」のリスクについて、1日15本の喫煙に匹敵すると発表し、話題を呼んだ。なるほどと思いつつも、時には煩わしい人間関係から逃げ出したくなるわが身を思えば、人間とは勝手なものだ。さて、ゴルゴさんならば「孤独」の漢字をどう解いてくれるのだろうか。(熊)
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