大分建設新聞

四方山

弁明

2023年08月08日
 「異次元」とも揶揄される日銀の大規模な金融緩和政策。デフレ脱却を合言葉に導入から10年が経つ。確かにひどいデフレ経済から脱したが、日本の国力は衰退の道をたどっているかに見える。国民経済の根幹を担う金融政策の一大転換。さぞかし綿密な議論が行われたのかと思っていたが、どうもそうではなかったらしい▼大胆な緩和策を決めたのは2013年春の金融政策決定会合。先ごろ公開された議事録によると、黒田東彦総裁(当時)は「金融緩和で2%の物価上昇を2年程度で達成する」と宣言したが、なぜ2年で可能なのかという根拠などは示されていなかった。「できることは全てやる」という、黒田氏の前のめりの発言は、いまだ目標が達成されていない中、妙に空しい▼空しさを超えて空々しく聞こえるのは、自民党の女性局長を務める松川るい参院議員の「中味のある真面目な研修でした」という弁明である。研修目的で出向いたフランス。エッフェル塔前でおどけたポーズの写真などをSNSに投稿し、「観光旅行ではないか」と厳しい批判にさらされている▼そうした声をなだめようとしたのだろう。「費用は党費と各参加者の自腹で捻出しています」と釈明したが「党費の原資が税金であることを知らないのか」などと逆に火に油を注いでしまった。そもそも何でフランスにと突っ込みたくもなるが、目的の一つが少子化対策を学ぶためだったという▼朝日新聞2月20日付紙面によると、22年に生まれたフランスの新生児は前年より1万9000人減の72万3000人。税の優遇措置など手厚い少子化対策が取られている同国も少子化に苦しんでいる。何を学ぶつもりだったのかと突っ込みたくもなる。松川氏は「誤解を招いてしまった」と嘆いたが、誤解による批判ではなさそうだ。(熊)
取材依頼はこちら
フォトkンテスト
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP