大分建設新聞

四方山

戦争と平和

2023年08月04日
 あいさつは「朝から暑いですね~」。出会う人に向けて語り掛ける口癖だ。照りつける太陽が灼熱の道路に変化させ、時折、降ったにわか雨が蒸し風呂のように湿度を高めた空気になり一段と蒸し暑くなる。まるで豊後大野市ではやりの「サウナ」で、「ロウリュ」の効果そのものだ。汗をかいた身体を冷やすため、川に飛び込みたくなる▼8月15日は終戦の日。お盆が近づくと新聞やテレビで太平洋戦争のニュースが取り上げられる。終戦から今年で78年を迎えるが、当時を知る、また戦争に従軍した人が一段と少なくなっているという。戦争当時の経験者から直接語ることが聞けなくなりつつある今、後世に伝える手段は、映像や文字による記録、遺品などからになるだろう▼久々に、豊後大野市朝地町の朝地駅に立ち寄った。数十年前に無人駅となっていることもあり人の往来も少なく、閑散とした駅だ。普段、目立つこともない看板に目が止まった。看板は「戦争を伝える三本のカイズカイブキ」とあり、その内容が記されている▼「昭和二十年(一九四五年)七月三十一日正午頃、朝地駅に停車中の列車にアメリカの戦闘機が銃撃し、死亡者十二名、負傷者四十名という悲劇がありました。今、それを知っているのは、構内にある三本のカイズカイブキの弾痕だけです。」とある。カイズカイブキの弾痕は発見できなかったが、終戦直前に朝地駅でこのような悲劇があったことに驚いた。後日、調べてみると、どうもアメリカの戦闘機は大分駅方面から豊肥線の汽車を狙って追いかけてきたらしい▼市内では、三重町や千歳町に軍の飛行場が建設されていた。当時、三重飛行場で少年兵として従事した経験者から「敵戦闘機の銃撃を受ける度に、泣きながら対空機関砲を隠した」と聞いたことがある。(勇)
取材依頼はこちら
環境測定センター
arrow_drop_up
TOP