大分建設新聞

四方山

ビッグの法則

2023年08月03日
 「パレートの法則」と呼ばれる経営理論がある。イタリアの経済学者、パレート(1848~1923)が提唱したもので、集団の上位2割が全体の8割を生み出している、という説である。会社組織に置き換えて、上位2割の社員によって8割の利益を生み出しているとも解釈されている▼そこから派生したのが「組織の2:6:2の法則」だ。上位2割が意欲的に働き、6割は普通に働き、残り2割は怠惰になってしまう、という考え方である。では、2割を辞めさせればいいかといえば、話はそう単純ではない。残った8割の組織でも、同じ比率で階層が分かれるという。組織運営とはこれほどまでに難しいということなのだろう▼単に怠惰であれば問題はそれほど深刻ではない。ただ、下位の2割には時折、厄介な事態を引き起こすモンスターと呼ばれる者が混じることもあるらしい。鉄の結束を誇る組織も例外ではない。中津市消防本部で、知人女性らの車を傷つけたとして懲戒処分を受けた消防司令補(42)もその一人である▼嫌がらせのつもりだったのだろうが、消防と市民との信頼をも傷つける行為であることには、思いが至らなかったらしい。いわゆるモンスター消防士のたぐいである。そうした中、組織的に車を傷つけていたと見られているのが、社会的な問題になっている中古車販売業界、最大手の企業である。自動車保険の保険金不正請求が常態化していたと報じられる▼靴下にゴルフボールを入れて振り回し効率よく傷つけていたという。被害者は一義的に保険金を不正に請求された損保会社だが、過大請求が掛け金に反映されることを思えば、被害者は途方もない範囲に広がる。社会財産の信頼を壊した会社がどうなるか。いずれ「ビッグの法則」として記されることになるかもしれぬ。(熊)
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