大分建設新聞

四方山

マイナンバーカード

2023年07月20日
 いまでは空気のように当たり前になっている「消費税」。導入が決まったのは、竹下登内閣時代の1988年暮れのことだった。昭和が終わる直前である。大型間接税の構想が浮上したのは、それにさかのぼる大平正芳内閣の79年のこと。実に10年がかりの長い道のりだった▼当初は「売上税」と呼ばれていた。だが、これが大不評だった。野党はもちろん、小売店業界を始めとする各種業界団体がこぞって反対運動を展開した。中曽根康弘内閣が87年、売上税法案の上程までこぎ着けたが、結局廃案に追い込まれた。竹下内閣は奇策に打って出る。実態としてはそれまでの売上税構想と同じだったにもかかわらず「消費税」と名称を改めて導入を図った▼それが功を奏したのか、政府自民党は悲願の大型間接税の導入を成し遂げた。ついついそんな昔話を思い出したのは、不評のマイナンバーをめぐる議論で、矢面に立っている河野太郎デジタル相が「マイナンバーカードの名前をやめた方がいいのではないか」と発言したからだ。2026年にデザインの変更が予定されており、それを機に名称も変えようということらしい▼マイナンバーカード導入に当たっては、マイナポイント事業だけでも1兆8000億円の巨費を投入したというのに、名称変更ともなれば、さらに巨額の経費がかかるのは必定だ。相次ぐトラブルに、「責任は大臣である私にある」と言い切るなど、河野氏の言葉は勇ましいが、どこまで責任を感じているのかと思ってしまう▼その河野氏は「マイナンバー制度は民主党政権がつくった」とも言い出している。「悪夢のような民主党政権」の遺産というわけである。ならば、廃止にしてしまった方がすっきりするのにと揶揄したくもなる。慎重にことを運んだ昭和の自民党政権とは異質だ。(熊)
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