大分建設新聞

四方山

替え玉

2023年07月11日
 世界を仰天させたロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン氏の武装蜂起。あっという間に終息してしまったが、ウクライナ侵略を進めるロシアが一枚岩ではなく、内憂外患に陥っていることを世界に知らしめた。強気のプーチン大統領も枕を高くして寝ていられないのでは、と思ってしまう▼そのプーチン氏にある疑惑がささやかれている。影武者の存在である。国内各地に出向いて、国民を鼓舞する映像が放映されているが、そのうちの何人かは顎の形状などからプーチン氏とは別人と見られているという。何しろ元をただせば、旧ソ連の情報機関KGBの腕利きのスパイである。暗殺を恐れて予防策を講じていたとしても不思議でない▼正真正銘の「替え玉」だったことが明るみに出たのが、札幌市内で5月に行われた日本ボクシングコミッション(JBC)の試合に出場したナイジェリア人の2選手である。プロボクサーを招いたはずだったのに、リングに立った2人はボクシングの未経験者。ともに1ラウンドでマットに沈み、素人同然の試合運びが観客の疑惑を招いた▼パスポートで本人確認をしていなかったという。ファンへの裏切り行為であり、自己申告を鵜呑みにしてリングに上げさせたJBCの責任は重い。同じような問題に直面しているのが、屈指の温泉地である別府市だ。性的少数者への理解を促す「LGBT理解増進法」が施行され、温泉地としてどう対応していくか、頭を抱えているという▼同市はこのほど、ジェンダーレス時代にふさわしい温泉のルールづくりを目指して初会合を開いた。単純に男女の区別なくという対応であれば混乱を招くのは必定だ。とはいえ、何もしないわけにはいくまい。安心と性的少数派の人権をどう両立させていくか。厄介な問題である。(熊)
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