中九州横断道路ニュース
2023年07月07日
6月18日、熊本県阿蘇市一の宮町で(仮)滝室坂トンネルの貫通式が行われた。延長は4834㍍で西の坂梨工区、東の波野工区で共同企業体による工事を行っている。いま、大分と熊本を結ぶ中九州道路の全線開通が注目される中で、滝室坂道路(延長6300㍍)の大半を占めるトンネル貫通は大きな前進となった▼大分県竹田市と熊本県阿蘇市波野を結ぶ竹田阿蘇道路(延長22・5㌔)の工事が昨年12月から着工した。将来的には滝室坂道路につながる予定で、大分県側では竹田久住、竹田西、荻の各ICを設置する見通しだ。今年度は、調査設計、用地買収のほか、現在、濁淵川橋下部工、上鹿口地区道路改良工事の2カ所を進めている▼竹田阿蘇道路の計画地には、遺跡が多く分布しているという。大分県と調整しながら佐伯河川国道事務所が埋蔵文化財の有無を確認する試掘調査を実施中だ。確認する対象地区は22カ所で、これから本調査地が増えるであろうが、今のところ「岩瀬の天神社・岩瀬遺跡」「穴井迫地区・君ヶ園地区・セハタ遺跡」で確認されている▼一方、熊本県側(延長5・6㌔)では、主に波野IC予定地周辺で用地買収や橋梁下部工の工事、埋蔵文化財の確認調査が行われているようだ。波野ICは現在の道の駅南側に設置する予定で滝室坂道路に直結する▼大分宮河内―犬飼間では平地、現道、山側の3ルート帯が提案され、佐藤樹一郎知事は、延長約18㌔の山側ルートを支持、吉野地区にIC設置を国交省に要望した。吉野地区周辺は、大分市の防災拠点施設や6市による新環境センター、大南スポーツ施設など拠点となる施設建設が進む▼熊本県は、TSMC半導体工場の来年稼働で大分県との早期完成を望む。日本経済を左右する半導体や農産物の物流はこの道にかかっている。(勇)