大分建設新聞

四方山

金の卵~高卒新卒~

2023年07月03日
 ある企業グループの安全大会を取材した。大会の最後の労働災害撲滅宣言では若い2人が壇上に立った。1人は始まる前も休憩時間もずっと原稿を手に一生懸命に宣言文を暗記していた。その若者に声を掛ける先輩方の優しい光景も目にした。もう1人は今年の高卒の新入社員。高校生の時に取材をしたことがあるので顔と名前に見覚えがあった▼2人は壇上で暗記した言葉を述べようとするが、行き詰まる。そこに先輩方からの「がんばれー!」という温かい声援が飛ぶ。宣言を終えた2人はホッとした安堵の表情になり、会場は拍手の渦に包まれた。高校を出て3カ月、彼はこの会社に入って良かったと思ったことだろう。高校を出て3カ月の新入社員を大役に抜擢した会社にも拍手を送りたい▼1日から高卒の求人情報が公開され、正式に求人活動が行えるようになった。高卒は大卒より採用コストがかからないことが大きなメリットだが、離職率は大卒より高いというデメリットもある。それはキャリア教育が少ない18歳で進路を決めること、その前の15歳で専門分野を選択していることに原因があると考える。企業に入ってギャップを感じるのは当然である。そこは企業が受け入れ研修で価値観をしっかりと教育して、大卒との年齢差になる4年間の現場教育を実践すれば、大卒より先に即戦力となるだろう▼一方で、高卒採用の場合、進路指導の先生から生徒を紹介してもらわなければならないという仕組みと、両親の意見が大きいという壁がある。そこでは高校生に一番向いている職場はどこかを共有することが大切になる▼ある会社では、先輩のインタビュー記事を持って高校を訪問するという話を伺った。先輩の言葉が後輩の胸に響き、来年の春、後輩が新卒採用で入社式を迎えることを祈る。(リュウ)
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