大分建設新聞

四方山

空き家問題と担い手不足

2023年06月26日
 故郷の友人と故郷の町で酒を交わす。60代も半ばになると、それぞれの病気は周知しており、話題にならなくなった。親の状況も周知しており、話題にならなくなった。仕事も一線を退き、最前線で仕事をしている者はなく、仕事も話題にならない▼今の話題は、まず不動産だ。不動産を本人で所有したり親族と共有で所有している者は、空き家をどうやって壊すかを検討している。改修しても借主が確保できない厳しい現実の一方で、道路に面していたり隣家に接している場合、朽ちていくのを放っておくわけにもいかない▼イイ話を耳にした。学校近くの道路に面した物件を整備して、駐車場と雨をしのぐ建物を造るという。今どきの学校では、親の送り迎えが当たり前になっており、私有地や近隣の道路で子供を待ち、Uターンして帰るクルマ、雨に濡れて待つ子どもたちを見て思いついたという。しかし共有する親族が話し合い合意が得られても資金がない。そこへ購入して整備するという建設業者が現れた。このイイ話をきっかけに周囲が少しでもにぎわえばと思う。日本全国で15年後には3軒に1軒が空き家になると言われている。人ごとではない▼次の話題は、祭りの継承。規模の大きい祭りは、すでに移住者や外部の人を受け入れてにぎわいをつないでいるが、問題は地区の小さな神社や祠の継承。跡取りがおらず空き家だらけの地区もある▼そこでは今年も弘法様の祭りができなかったと悔やむ。その昔、地区で出資して祠を建てたが、今は大分市から帰省する友人が1人で祠の掃除に汗を流す。今回は近隣に住む友人と現状を共有し、これからは一緒に守っていこうと意気投合したが、2人とも60代半ばで若くはなく、継承者の確保は目の前に迫っている。地区を守る神社や祠も担い手不足に喘いでいる。(リュウ)
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