大分建設新聞

四方山

笑い

2023年06月21日
 メスとして初めて高崎山自然動物園のサルの群れの頂点に立ったヤケイ。5月にトップの座から転落したかと思えば、赤ちゃんを出産した。映像でみるヤケイの表情から険しさは薄れ、柔和になった感じがする。誕生したばかりの赤ちゃんを抱いてあやすヤケイはどこか笑みを浮かべているようにも感じられる。笑顔とは人間だけの特権ではないのだろう▼けれども複雑な感情を使い分けて笑うのは人間だけのようだ。例えば、緊張感から解放された時に浮かべる表情もそうだし、ユーモアを理解して爆笑するのも人間だけだ。もう一つ、愛想笑いなど、本心を覆い隠すための手段として「笑い」を使うのも万物の霊長だけだ▼「解散あるある」と言われた今国会。終盤で時ならぬ「笑い」問答が繰り広げられた。岸田文雄首相が「解散見送り」を判断したことを見計らったように、立憲民主党が16日に提出した内閣不信任決議案。同党の泉健太代表は「総理の含み笑いが、周囲を挑発し、今回の大きな解散騒動となった」「政治、行政、経済にも大きな影響を与えかねない解散を軽々しく振り回した」と厳しく詰め寄った▼「解散は考えていない」と繰り返していた岸田氏が13日の会見で突然「情勢を見極めたい」などと発言した際、かすかな笑みを浮かべたことを、解散権をもてあそんだと批判したのである。結果からすれば、解散風におびえる野党を見透かして、重要法案を通すための、野党の動きを封じ込めるための高度な戦術だった▼となれば、本心を隠すための「含み笑い」…いや「してやったり」だったのかもしれない。実は、国会の演壇に立った泉氏の表情も、よくよく見ればかすかに笑っているようにも見えた。支持率が低迷する立憲民主党だけに、安堵ゆえの笑みだったのではあるまいか。(熊)
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