バスマニアの聖地
2023年06月19日
豊後高田市には「昭和ロマン号」という1957年生まれのボンネットバス「いすゞBX141」が、人気の車掌兼バスガイドを乗せて走っており、昭和の町の観光の一翼を担っている▼国東市にはバスマニアの聖地があり、全国からマニアが集まるという。国東観光バスに92年製のバスがあり、ボディから飛び出た形のライトなどが魅力的なレトロなデザインが人気だ。聖地は田深地区にある「はな珈琲店」という店。元運転手らが寄贈したバスのヘッドマークやバスグッズが飾られている▼国東の中心部から上成仏地区を結ぶバスは2021年3月末で75年の歴史に幕を閉じたが、代わって走り始めたコミュニティーバスを、はな珈琲店の前に停まるようにしたところバス好きの拠点になっていったという。地元のボランティアガイドが乗り、国東在住のデザイナーが手づくりのマップを作り、終点の成仏では町おこしヒロインのオコスンジャーが乗車記念カードを配ってもてなしている▼竹田市の大野竹田バスには、バスマニアが毎週のように見に来て写真を撮るという1988年製のバスがある。一見普通に見えるが、乗り込んでみると荷物棚があり、ワンマンの降車ボタン、座席のシートや運転席周りもレトロだ。当時主流のヘッドライトは丸目の2灯だったが、このバスは角目の4灯で、九州でも珍しいという。竹田市は2012年7月に豪雨に遭い、ほとんどのバスが水没したが、このバスは浸からなかった1台で奇跡的に生き残った▼国東は観光地化が進んでいるが、竹田はマニアの拠点を作ると、もっと人が集まると思う。大分にはリアス海岸を背景に走る県南のバスや、幅の狭い道路や住宅地を抜けるバスなど映えるスポットがあるとマニアはいう。拠点の整備とPRで地域の起爆剤となり得る。(リュウ)