大分建設新聞

四方山

最近の若者は…

2023年06月15日
 久しぶりに会った知人から嘆き節を聞いた。「今年入った新人が夕方になっても、書類づくりに追われていた。『手伝おうか』と声をかけると、『お願いします』と言ったまま帰ってしまったんだ」。「まさか」と返すと、「本当の話だよ」と念押しされた。環境の変化に対応できず、心身の変調に苦しむ「五月病」。この新人君は無縁なのだろう▼知人の体験は何も特異なケースではないらしい。就業中にスマホで音楽を流し始めたり、隣にいるのに、連絡はメールで済ませようとしたりする新人もいるとか。週刊誌などは「令和のモンスター新人」と書き立てる。「マイペースで自己中心的」という識者の解説には思わず苦笑してしまう▼1960年代の初めに産まれた筆者は「新人類」と呼ばれた世代である。大人になりきれていないなどと、散々批判されたものだ。それこそ、大ヒットしたゲームになぞって「インベーダー世代」、「ジコチュー世代」とも難じられたものだ。ともに自己中心的である、というわけだ▼その新人類世代から生まれた子どもたちが、令和になって社会に巣立ち、その親世代同様、自己中心的と批判されているのも皮肉でもある。90年代後半から2012年にかけて誕生した世代をZ世代と呼ぶ。米国発の呼称で、アルファベット最後の文字であり、不穏なイメージも漂う▼古代エジプトの遺跡から見つかった粘土板には「近頃の若者は…」という不満が刻まれているという。いつの時代も同じなのだろう。「だらしないといわれた若い人たちが、自動車をつくり、飛行機を飛ばし、月まで行ける時代を築いてきた。いつの時代でも、年をとった大人たちよりも若い人たちのほうが偉い」とは、ホンダ創業者の本田宗一郎の言葉だ。批判ではなく、優しく見守るのが大人世代の役目のようだ。(熊)
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