大分建設新聞

四方山

驕る者久しからず

2023年06月06日
 厄介な隣人である。またぞろ北朝鮮が軍事偵察衛星を積んだとする飛翔体を打ち上げた。政府は全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令し、不気味なサイレンとともに、通過が予想される沖縄県民に避難を呼び掛けた。右往左往したのが沖縄の人たちだ。「いったいどこへ逃げたらいいのか」と、不満の声が漏れたようだ▼飛翔体は打ち上げに失敗し東シナ海に落下したが、石垣島に配備された自衛隊の迎撃ミサイルは、接近していた台風の影響で、予定地に展開できなかった。強風でミサイル装置の倒壊を懸念したためだという。けれども、有事においては悪天候を衝いて攻撃を仕掛けてくるのが常道だ。日本の防衛体制は大丈夫なのだろうかと、不安を感じた人もいたことだろう▼と、耳を澄ますと別のJアラートが。発信元をたどると、どうやら永田町の岸田文雄首相の公邸のようだ。長男で政務秘書官の翔太郎氏が公邸で親族の忘年会に興じ、悪ふざけしていた写真が流出し更迭されたが、今度は岸田氏自身がその忘年会に参加し、くつろいでいる写真が週刊誌『フライデー』に報じられた▼岸田氏は「私的空間」と釈明したが、税金で維持されている以上、私的も公的もあるまい。有事の際は危機管理の中枢の役割を担うがゆえに、内部の写真が公表されることは基本的にない。国民の生命、財産を守る最高司令官自らがその禁を破った格好だ▼高崎山自然動物公園で、雌ザルとしては初めて群れのトップについたヤケイがその座から転落、元カレのゴローに取って代わられた。2年足らずの天下。ボスとしての自覚に欠けていたらしい。一方、自民、公明両党の関係がギクシャクしている中、前首相の菅義偉氏の存在感が増しているという。連動しているはずもないが、「驕る者久しからず」のいにしえ人の言葉が頭をよぎる。(熊)
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