お奉行さま
2023年05月12日
家のポストを開けるのが憂うつだ。固定資産税、自動車税の通知が立て続けに来たのに加え、昨日は自治会費集金のお知らせまで届いた。最近は羽が付いているのかと思うほど、あっという間に財布から万札が消えていく。これを受け、厳しい顔で電卓を叩いていると、妖怪でも見たかのような顔で旦那がドアの隙間からこちらを見ていた▼まず声を大にして言いたいのが「これ以上節約できない」ということである。固定費は全て見直し、携帯キャリアも乗り換え、自炊に弁当持参と、節約を常に念頭に置き、切り詰めている。解決策は収入を増やすことにほかならないのだが、旦那の尻を叩いたところで「打出の小槌」ではないのだから、小銭の音すらしない▼異次元の子育て政策とは聞こえは良いが、実際のところは賃上げ政策が本気で施行されない限り、人口減少問題は解決しない。保育士の増員や男性の育児休暇取得推進も、全ては最小単位の社会「家庭の経済」が安定しない限り、整えても後手なのだ。子ども一人を大学まで行かせると4000万円を超える現実。もはや子ども自体が贅沢品になりかけている▼子育て中の友人が口を揃えて言うのが「2人目は無理」という言葉。夫の育児協力が得られないなどの理由ではなく、今の子に金銭的苦労をさせたくない、というのが大きな理由だと言う。もう産めばどうにかなる時代は終わったのだ▼冒頭シーンに戻るのだが、携帯料金の明細をチェックして妙なことに気付いた。覚えのない引き落としが追加されている。これは何かと問い詰めると、どうやらタバコを携帯決済で購入したらしい。通信費と合わせて引き落とされるのでバレないと思っていたようだ▼お小遣いから引く旨を言い渡すと、うなだれて寝室へ消えた。お奉行さまの目はごまかせない。(万)