大分建設新聞

四方山

私の未来予測

2023年05月02日
 この4月中旬、実家のある田舎で3年振りに祭りがあった。神社の歴史は古く、昔から周辺地区の住民によって大切に守られてきた。数百年続く4月の祭りは、大変なにぎわいとなって、これまで一度たりとも中止になった事がないという。この3年間は、新型コロナの影響で中止された。おそらく初めてではないかと思われる▼しかし、ここに来て新たな継続問題が起こっている。維持する住民の人口減だ。確実に高齢者が増えて若年者の在住はほとんど皆無と言ってよい地域。祭りを維持することが困難な状況に陥っている。また、祭りの主役となる獅子舞は、笛や太鼓、獅子、舞子の役などを継承する伝統芸能者がいない状況だ。一人で継承できるものならまだ何とかなるだろうが、祭りを行うには数十人の構成が必要となる▼祭りが行われた10日ほど前に、日本人が過去最多の75万人減少したと新聞各社が報じた。昨年10月の人口推計で外国人を含む総人口は1億2494万7千人で前年より55万6千人減少したという。厚生労働省による2022年の出生数も80万人を割り、統計を取り始めた1899年以降、過去最少となった。自然減は16年連続となっている▼国土交通省「国土の長期展望」による中間とりまとめでは、2050年に日本の総人口は、9515万人と約3300万人減少、65歳以上の人口は約1200万人増加し、15~64歳の生産年齢人口は約3500万人、0~14歳の若年人口は約900万人減少すると予測している▼地域の小さな伝統や文化は失われつつある中で「地域の廃業」は避けられないのか。一方、時間の経過とともになるようにしかならないのか。地元の行事で考えさせられる4月であった▼今、私の見解はこうだ。恐竜よりも小さなアリが生き残っていく時代になると。(勇)
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