大分建設新聞

四方山

厳しさも教育に

2023年04月21日
 前回、弊紙の四方山で近くの書店が閉店したことを書いた。私が会社帰りに時々立ち寄っていた書店だったが残念でならない。その書店があった建屋の解体がもうすぐ終わろうとしている。建物を建てることは建築にとって大変な事だが「壊すのは速いものだ」と思うのは素人の考えか▼3月に建設業界にとって衝撃的なニュースが走った。ゼネコン大手の大成建設が、札幌市中心部で建設中の高層複合ビルにおいて鉄骨の精度を改ざんしていたという。現場は、北海道放送の本社跡地でNTT都市開発が建設中の再開発ビル地上26階、地下2階、延べ約6万平方㍍。ビルにはアメリカ大手のハイアットグループなどが入るという▼報道によると、鉄骨を組むボルトが規定より小さいこと、鉄骨70カ所で平均4~21㍉のずれ、床・天井のコンクリート245カ所の厚みが規定より平均6~14㍉薄かったという。建設中だった複合ビルは、2024年2月の完成に向けて全体で約2割まで進んでいたが、これまで進めてきた建築を再度解体して再構築するため竣工を26年6月ごろに改めるとした▼05(平成17)年11月17日に国土交通省が、千葉県にある建築設計事務所による構造計算書が偽造されていたことを公表、報道が大きく取り上げた、いわゆる「姉歯事件」を思い出した。この事件を機に、建築基準法が改正されるなど耐震偽装が簡単にできないよう強化された。とは言え、その後も偽装は新聞やニュースで取り上げられている▼近年、建設業界は昔の教育とは違って、若手社員に大変優しいと聞く。楽しさや面白さ、何より働きやすさが大きく見えてきたことは新たな業界の進歩だろう▼しかし、数ミリずれてもいけない建設業でもある。建てる厳しさ、解体する厳しさも教育に必要な業界でありたい。(勇)
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