大分建設新聞

四方山

商品高騰

2023年04月20日
 村上春樹さんの新作「街とその不確かな壁」が話題を呼んでいる。当代きっての人気作家の6年ぶりの新作とあって「ハルキスト」と呼ばれる熱狂的なファンならずとも、読書界の話題をさらっているらしい。恥ずかしながら、村上さんの作品を完読したことがない。ひとひねりした比喩表現についていけないのだ▼関連のこのニュースに接した時も、一瞬、何かの「例え」とさえ思った。その新作については特別装丁の愛蔵版が発行されるという内容だが、定価が10万円と記されていたからだ。1万円の誤植ではと思い、改めて確認したほどだ。通常版の定価は2700円なのでざっと37倍である。果たして買う人は…などという心配をよそに、版元には問い合わせが殺到しているという▼略語ブームなのだろう。「TKG」と書いて「卵かけご飯」と読ませるらしい。一部のTKGファンに人気なのが「タマンゴ」というブランド卵。何と1個が900円という。マンゴーやココナッツなどが配合された飼料で育ったニワトリから産まれたプレミアム卵で、コクのある味わいが特徴とか。飛ぶように売れているらしい▼多くの庶民は無縁の話だろう。それよりも卵の高騰に食卓は大揺れだ。鳥インフルエンザの被害拡大で、3月の卵の卸売価格は前年同期の75%アップ(東京地区)に上る。当然ながら全国に波及する。マクドナルドからは看板商品「てりたま」シリーズが店舗によっては販売休止になっている▼マヨネーズの値段は2年前に比べて1・4倍の値上げ。外食で定番のチャーハンも、卵が減りその分ネギが増えたような気もする。一方でのプレミアム卵のブーム。富裕層と貧困層に二極化してしまったのか。たかが卵、されど卵。「不確か」どころか、社会の「明確な壁」が浮き上がってくる。(熊)
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