大分建設新聞

四方山

督戦隊

2023年04月13日
 ウクライナに吹き荒れる戦火。ロシアによる侵攻開始から1年余が経過するなか、粘り強いウクライナの人たちの抵抗で、物量で勝るロシアが苦しんでいるようにも見受けられる。最近、盛んに報じられているのが、ロシア側が伝統の「督戦隊」を動員したというニュースである▼読んで字のごとく「戦闘」を「督励」する部隊である。「しっかりやれ」と激励するだけではない。命令に反して退却しようとする戦闘部隊を銃撃、攻撃して最前線に向かわせるのが主たる任務だ。ロシアにおいては、旧ソ連時代の第2次世界大戦で多数の督戦隊が同胞に銃口を向けた▼国家公務員法は「すべて職員は、国民全体の奉仕者」と定める。どうも怪しい。先ごろ明るみになった国土交通省OBによる民間企業への人事介入問題である。舞台となったのは羽田などの空港でビルなどの施設を運営する空港施設㈱。純然たる民間企業である。元事務次官が同社社長を訪ね、同省出身の副社長を社長にするよう働き掛けていた▼特報した朝日新聞の記事によると、元事務次官は「国交省の方針だ。出身者を社長にしていただきたい」と露骨に要求していた。また、副社長の同省OBも、平取締役だった一昨年、「バックがいる人たちがどう思っているか」などと言って、副社長ポストを要求し就任していた。ヤクザ顔負けと思いきや、このOB氏は20年ほど前、風俗店で傷害事件を起こし逮捕されていたことが、週刊文春で報じられた。地だったのかもしれぬ▼乗り込まれた同社を「国民」にたとえれば、脅すような言辞を吐いた同省OBは銃口を自分たちに向ける、さながら督戦隊のような厄介な存在だったはずだ。果たして国交省だけの問題なのだろうか。「役所の、役所による、役所のための統治」だけはご免こうむりたい。(熊)
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