迷惑行為とリスクマネジメント
2023年04月10日
大手牛丼チェーン「吉野家」で共用の容器に入った紅しょうがを自分の箸で食べた30代男が逮捕された。回転寿司チェーン「くら寿司」の店舗で、レーンの寿司を手づかみで取って食べ、醤油差しに口をつけるなどの迷惑動画を投稿した男女が逮捕され、報道されたにも関わらず、飲食店の迷惑動画は跡を絶たない。経営者や店のスタッフには心から同情する▼先日、大手チェーン店でなく、比較的小規模の回転寿司屋に連れて行ってもらった。小規模の店だとスタッフの死角が無く、迷惑動画を撮りにくいので安心感があるという。なるほどと思った。大規模チェーンよりは割高な料金設定だが、その分おいしい。今後は客側もリスク回避をしながら外食を楽しむことになるだろう▼損害保険業界はすでに商品を開発している。少し前に従業員が冷凍庫に入ったり廃棄食材を使ったりした動画のネット投稿が報道されたが、損害保険の特約には、従業員や客による不祥事で、休業や設備の取り換えで発生した損害などを補償するものがある。一方で、客や取引先からの不当な要求、いわゆるカスタマーハラスメントが、従業員の離職の要因にもつながっている。さらに、パワハラ、セクハラも少なくはなく、損保会社には多くの相談が寄せられているという▼損害に対する補償は一時的なものなので、企業としては再発を防がなければならない。そのためには社員に再発防止のための研修や講習を受講させる必要があるが、その費用も補償するという。保険というものは補償内容をみると至れり尽くせりで、安心を買いたくなる▼クレーム社会となってしまった日本では、ダメージの大きい中小・零細企業こそリスクマネジメントが必要だ。保険に頼るだけでなく、リスク回避に取り組む経営が企業の存続につながる。(リュウ